過ぎ行く日々を少しでも。

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キレる!

"どうすれば、相手の怒りや感情的な行動に振り回されることなく、上手に自分の怒りの気持ちを発散させるような切り返し方ができるのでしょうか。これらにはテクニックと経験が必要です。"

 

 

さっと読める本書。

タイトルだけで判断すると、上手にキレてコミュニケーションを円滑にしましょう、というところかな、と思えるもので、結果まぁ外れてはいかなかった。

言った者勝ち!キレて得をしよう!という本があったらそれはそれで面白そうだが、まあ目指したくはない態度だ。世の中、難癖をつけて利益を得ようとする澱んだ人間が多い。昔は恥の文化が色濃く残っていて、ちょっとしたことでギャーギャー騒ぐことは恥ずかしい、とされていたが、今の御時世では、損得勘定が優先され、何も言わないのは損である、あるいは文句を言えば我欲が通る、そんな考えから世の中は攻撃が増え社会がギスギスしている。これは僕の観念でありデータはないが、そういう印象は多いんじゃなかろうか。

社会がギスギスすれば、人の心は余裕がなくなる。余裕がなくなれば、他人への配慮も低下する。それが時にハラスメントであったり、不当な要求であったりする。そうして社会のギスギス度は増していくというスパイラルがあるが、そうした行動は当人のホルモン分泌も関わっていたりする。

本書では、"キレる"をキーワードに、怒りやイライラなど、ストレス反応的な行動を取る人や、あるいはうまく自分の気持を表せないことで悩む人などを念頭に、複数のケースをホルモン面から説明を試みている。

その人の人格などを念頭に置くのではなく、生理現象や心理現象としてそれら行動を理解し、認識しようとする。

例えば、あれ、これ俺が該当するかも?という一説がある。

セロトニントランスポーターの濃度が低い人は、決して普段から攻撃的な人ではなく、逆に真面目で人を信頼しやすいということもわかりました。(中略) 不安になりやすいが普段は真面目でおとなしく、人を信頼しやすいが、相手がずるをしている、自分に不当なことをしていると感じると、自分の時間やお金などコストをかけても、相手を懲らしめたい、報復したいと思ってしまう傾向がある。

セロトニンという神経伝達物質があり、これが多ければ不安を感じにくいというホルモンなのだが、これを再利用するタンパク質がセロトニントランスポーターであり、このトランスポーターの濃度が低いというこは、再利用されるセロトニンが少ない=脳内のセロトニンが少ない=不安を感じやすい、ということだ。

僕は不安を感じやすい性質だと思う時は多く、また自分が軽んじられたり不当に扱われると怒りを感じる。報復したい!というほど強い感情は生まれないにしても、そうした行動をとる相手には反発を覚えることがあるので、これってセロトニントランスポーターが少ないってことなのかなぁ、と。

ただ、これまた同じ中野氏の言葉だが、日本人はおおよそそうらしい。

セロトニン・トランスポーターの数は遺伝的に決まっているのですが、この数が少ない人の割合が日本人は約97%と、世界的にみても非常に高い。つまり、世界で一番不安になりやすい民族なのです。

引用元:https://money-campus.net/archives/6593

 

じゃあセロトニンを増やすことが対策になる。どうすればいいか?ってのはぐぐると色々でてくるので、詳しくはそちらを参照されたし。

話を戻そう。

ホルモン作用について述べたあと、じゃあキレる人たち相手にどう対峙するか、という話が展開されるのだが、要は以下である。

  • アサーティブな会話
  • やばそうなら逃げろ

アサーティブな会話というのは、自分も相手も大事に扱うコミュニケーションのことで、自分の気持を正直に、その場で相応しい表現で伝えることだ。自分を大切にしなければ、どんどん都合の良い人になってしまうし、自分が疲弊していくだけだ。どうしたら上手に自分の考えだったり主張だったり気持ちだったり、そうしたものを相手に伝えられるか。(もちろん、自分一方通行ではなく、相手の話も聞く必要がある。)

まあそれができたら苦労しないよ、というところだが、それができるようになるために、練習しよう、というのが主旨なわけだ。どう練習するか、それは自分の周りにいる人で上手な人の真似をしよう!、あるいはおすすめの番組or漫画紹介するのでそこから伝え方を学ぼう!という話だった。

このあたりはアサーティブという手法の話になるので、本書で具体的に取り上げるにはページ数がないので、あくまで"気づき"を与えるポジションなんだなぁ、と勝手に理解した。

 

昨今、脳科学にまつわる本が多く出版されていて、本書もその一つではあるが、身の回りにいそうな、ありそうなケースを取り上げ、ホルモン作用や心理現象の説明と、自分を大切にするための"気づき"を挙げている点で、日々疲れる日々を生きる人々にとって、平易に読める良い入門書、という本だと思った。

 

アサーティブ・コミュニケーション、できるようになりたいよね〜。